■開催情報
開催日:8月2日(日)第1部13:00-14:20/第2部14:30-16:00
会場:第1会場(メインホール) ※自宅などからオンライン視聴もできます
参加費:無料
対象:一般の方(児童・生徒・学生を含む)、NEURO2026に参加される方
AI(人工知能)や脳科学の進歩は、私たちの暮らしや社会のあり方を大きく変えつつあります。医療現場での画像診断支援や生成AIの活用、さらには脳とコンピュータを直接つなぐブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)の実用化など、かつてはSFの世界だった技術が現実のものとなり始めています。一方で、こうした技術がわたしたち人間の価値観や社会にどのような影響をもたらすのかについては、十分に議論されているとは言えません。
本イベント「脳×AIがつくる未来:テクノロジーとわたしたちのこれから」では、AIと脳科学の最前線で活躍する研究者と、人文社会科学や若い世代の登壇者が集い、最先端技術と社会との望ましい関係について考えます。AIと脳の対応関係を研究する高木優氏は、人間の認知とAIが互いを照らし合う研究の魅力と未来像を紹介します。福間良平氏は、脳活動を活用して思考や意思を伝えるBCI研究の最新動向と可能性について解説します。
さらに、人工知能の歴史や科学技術の社会的意味を研究する杉本舞氏、国際的な若手神経科学コミュニティで活動する小澤美咲氏を交え、多様な立場から議論を展開します。司会は科学コミュニケーターの宮田龍氏と脳神経倫理研究者の福士珠美氏が務め、対話型ツールを活用しながら、技術への期待と懸念、そして懸念の払しょくにはどうしたらよいのかなど、来場者の皆さまにも議論にくわわっていただきます。
脳とAIが切り拓く未来を、専門家だけでなく、市民一人ひとりが主体的に考えるための機会として、幅広い世代の皆さまの参加をお待ちしています。
人間を学ぶAI、人間を見つめ直す私たち
高木 優
(たかぎ ゆう)
名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学科 准教授
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科にて博士前期・後期課程を修了後、オックスフォード大学客員研究員、JSPS海外特別研究員を経て、大阪大学大学院生命機能研究科助教、情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター協力研究員として研究に従事。その後、国立情報学研究所にて大規模言語モデルの研究開発に携わり、2025年より名古屋工業大学准教授に着任しました。
AIと脳活動の対応関係を探ることで、脳がどのように世界を表現しているかを理解すると同時に、AIの中身を人間の認知から読み解くという、双方向の研究に取り組んでいます。本講演では、AIと脳科学が互いを照らし合うことで何がわかり、その先にどんな未来が見えてくるのかをお話しします。
Brain-Computer Interface:脳とAIで思考を形にする技術
福間 良平
(ふくま りょうへい)
大阪大学大学院医学系研究科神経情報学教室
2007年に京都大学工学部を卒業し,2009年に京都大学情報学研究科にて修士(情報学)を取得,2015年に奈良先端科学技術大学院大学にて博士(理学)を取得しました。その後,大阪大学大学院医学研究科脳神経外科学教室にて特任研究員,同特任助教,同特任講師を経て,2024年末よりカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)に1年間留学しました。2025年末より大阪大学大学院医学研究科神経情報学教室 特任准教授に着任しています。
博士課程以降,人の頭蓋内脳波を用いたBrain-Computer Interface(BCI)の開発と,BCI利用時における脳活動の変化に関する研究に従事しています。近年では,視覚的想像を用いて画面上の画像を制御する新しいタイプのBCIの開発や,脳活動の時空間ダイナミクスに基づく新たな疾患バイオマーカーの開発を進めています。
小澤 美咲
(おざわ みさき)
IYNA Japan (International Youth Neuroscience Association)
International Youth Neuroscience Association(IYNA)は、次世代の神経科学者にインスピレーションを与えることを目的とした、国際的な学生主導の非営利団体である。IYNA は2016年に国際脳科学オリンピック参加者によって設立され、現在では4,000人以上のメンバーと126か国以上の支部を有している。
2024年に IYNA Japan を立ち上げ、2年間代表を務めた。中高生を対象に、脳神経科学に関する輪読会・講演会・勉強会・交流会などを企画・運営してきた。現在は IYNA 本部にて活動している。第四期日本神経科学学会ニューロナビゲータ。2026年秋より米国 Stanford Universityに進学予定。笹川奨学金4期生。
杉本 舞
(すぎもと まい)
関西大学社会学部社会システムデザイン専攻 教授
1999年に京都大学に入学し、学部生の頃から科学史、技術史、科学哲学、科学・技術に関する倫理などを学び、米国留学などを経て、京都大学大学院文学研究科で博士(文学)を取得しました。専門は情報処理技術の歴史で、特に人工知能とコンピュータサイエンスの歴史を一貫して研究してきました。著書『「人工知能」前夜』(青土社、2018年)では、脳とコンピュータをなぞらえる考え方が、人工知能分野の登場にどのような影響を与えたかについて、20世紀前半にまでさかのぼって論じました。現在は、1970年代から1990年代における人工知能研究の歴史などを調査しています。
日本科学史学会では全体委員、国際科学技術歴史哲学連合(IUHPST)の科学史技術史部門(DHST)では評議員をつとめています。また、日本学術会議若手アカデミーのメンバーとして、科学技術関連の政策への提言や、研究環境改善のための活動にも関わっています。
福士 珠美
(ふくし たまみ)
東京通信大学人間福祉学部 教授
北海道生まれですが関西は奈良県で大学生活を過ごしました。それを皮切りに、愛知県(犬山市)、北海道(札幌市)、アメリカ(ミネソタ州ミネアポリス・セントポール)、東京、京都、東京と、脳科学・脳神経倫理の研究者としてのキャリアの変遷とともに引っ越しを繰り返してきました。 神戸のポートアイランドにある研究施設で働いていたことがあり、NEURO2026市民参加型イベントの司会者としてこの地に帰ってこられること、市民のみなさん、イベント参加のみなさんと一緒に脳とAIの研究のすごさ、面白さ、怖さ、すばらしさを語り合えることを楽しみにしております。
宮田 龍
(みやた りゅう)
株式会社アラヤ
科学コミュニケーター(サイエンスコミュニケーター)。
九州大学大学院 修了。日本科学未来館の科学コミュニケーターを経て現職。
「閉塞感のない社会」を目指して活動。主にAI・ロボット・ニューロテックなどのエマージェンステクノロジーの社会実装に向けた、ELSIやDE&Iなどの視点から対話するコミュニケーション企画を設計してきた。また、SFプロトタイピングを活用した科学コミュニケーションである"空想科学コミュニケーション"を数多く手掛ける。
代表作
「Neu World」(ムーンショット目標1金井プロジェクト)
特別展「きみとロボット〜ニンゲンッテ、ナンダ?〜」(日本科学未来館)
2015年にスタートし、毎回大きな反響を呼んでいる人気シリーズ「脳科学の達人」。11周年となる今年も、世界の第一線で活躍する研究者たちが集結します。
認知症になると、なぜ記憶は失われるのでしょうか。そもそも記憶とはどのように作られるのでしょうか。私たちの脳はどのように学び、意思決定を行い、環境に応じて変化し続けているのでしょうか。
今回の「脳科学の達人2026」では、脳研究の最前線を俯瞰する話題から、認知症、学習と意思決定、そして気分や行動を生み出す脳の仕組みまで、4名のトップ研究者が最先端の研究成果をわかりやすく紹介します。
会場での参加に加え、YouTubeでのオンライン配信も予定しています。また、「日本神経科学学会市民公開企画」YouTubeチャンネルでは過去の講演動画も公開中です。ぜひあわせてご覧ください。
※当プログラムでは、登壇者の著作権およびプライバシー保護の観点から、講演内容の録画・録音・スクリーンショットの撮影・SNS等への無断転載を一切禁止しております。
ショウジョウバエをアルツハイマー病にしてみたら
安藤 香奈絵
東京都立大学理学部生命科学科
博士(薬学)。1996年東京大学薬学部卒業。2001年同大学院薬学系研究科博士課程修了。米国コールドスプリングハーバー研究所でのポスドクを経て、2006年からトマスジェファーソン大学神経学科Assistant Professor・Principal Investigator、2014年から東京都立大学理学部生命科学科准教授、2025年から教授。歳をとると脳はどのように変化するのか?なぜ歳をとるとアルツハイマー病のリスクが高まるのか?培養細胞、ショウジョウバエ、マウスなどさまざまなモデル系を使って研究している。病気は健康の裏返し、病気の研究から細胞が通常どのように機能しているかが明らかになる。老化の分子メカニズムがわかれば、予防・治療法も見つかるはず。今は特に栄養代謝との関係に興味がある。
ホルモンが“脳のスイッチ”を押すとき:行動はどう変わるのか?
井上 清香
ワシントン大学セントルイス 医学部精神医学科 アシスタントプロフェッサー
新潟県生まれ。東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。東京大学、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校、スタンフォード大学で博士研究員として脳科学研究に従事し、2024年より現職。私たちは、同じ人でも状況によって行動や気分が大きく変わる。この変化はどのように生まれるのか?という問いに取り組んでいる。特に、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンが脳の回路にどのように作用し、行動や気分の変化を引き起こすのか、その仕組みの解明を目指して研究している。
脳が学習するアルゴリズム
内田 直滋
(うちだ なおしげ)
ハーバード大学 生物物理学部 教授
1992年、京都大学理学部生物物理学教室卒業。1997年、京都大学大学院理学研究科博士課程修了。国内外での研究経験を経て、2006年よりハーバード大学で独立した研究室を主宰。現在に至る。意思決定と学習の神経メカニズムを、神経回路およびアルゴリズムのレベルで解明することを目指している。とくに、報酬や経験から脳がいかに学習するか、その背後にある計算原理を、動物実験と理論的アプローチを組み合わせながら探求している。将来的には、これらの研究から得られた知見をもとに、うつ病や依存症などの神経・精神疾患の理解への貢献、ならびに生物の学習原理に着想を得た新しい人工知能の発展に寄与することを目指している。
脳神経科学の進歩は私たちの生活をどう変えるのか?
寺田 慧
(てらだ さとし)
テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター(UTSW)
理化学研究所、米国コロンビア大学、テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター(UTSW)での研究を通じ、「脳がどのように記憶し、忘れるのか」をテーマに、分子・細胞レベルから神経回路レベルまでを網羅する包括的な研究に従事。
最大の強みは、生命科学の実験技術開発と機械学習・深層学習を駆使した解析アルゴリズム開発の両輪を回すスタイル。この分野横断的なアプローチにより、従来では観測困難であったミクロレベルの脳内変化と記憶形成との関連を発見するなど、記憶のメカニズムの解明に貢献した。
2026年よりコンサルティングファームに参画。アカデミアで培った「脳科学×AI」の専門性を駆使して、先端技術の研究開発や社会実装を加速させる社会基盤づくりや、産官学連携の橋渡しを推進。脳科学の産業応用を通じた、新たな価値創造に尽力している。
佐伯 恵太
(さいき けいた)
俳優・サイエンスコミュニケーター
京都大学大学院理学研究科で修士号を取得し、日本学術振興会特別研究員 (DC1)として同大学院博士後期課程に進学。
1年間の研究活動の後、俳優に 転身した異色の経歴の持ち主。現在は、科学とエンターテイメントの架け橋になるべく、
俳優・サイエンスコミュニケーターとして活動中。
【出演等】
「大富豪同心シリーズ」「ABEMAヒルズ」「しまじろうのわお!」/ サイエンスショー、科学イベント、研究紹介動画等多数
【所属等】
日本科学振興協会(JAAS)正会員
日本サイエンスコミュニケーション協会(JASC) 正会員
慶應義塾大学 SFC研究所「健康情報コンソーシアム」賛助会員
東京家政学院大学 非常勤講師
【受賞等】
第14回 JASC年会 ベストプレゼン賞
科学の鉄人NEXT2026 総合2位
Dr. DJ ATSUKO aka 宮﨑敦子
東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野
医学博士。東京大学先端科学技術研究センター 身体情報学分野 特任講師。東北大学大学院医学系研究科 脳機能開発研究分野 博士課程修了。
脳と音楽の関係を専門とし、ドラムを用いた認知症予防・改善プログラムの開発など、音楽を活用した認知・身体機能への介入研究を行っている。著書に『すごい音楽脳』(すばる舎)があり、音楽を使った脳トレについて、自身の実験結果とエビデンスをもとにわかりやすくまとめている。
また、Dr.DJ.ATSUKO名義で長年DJ活動を続けており、日本神経科学学会による市民公開講座「脳科学の達人」でDJを担当。研究とDJ活動の両面から、音楽が脳と身体に与える影響を探究している。
松井 広
(まつい こう)
東北大学大学院生命科学研究科 教授
「心とは何か?」という大きな問いに、光・電気・電脳を駆使して迫る神経科学者。脳細胞間の信号伝達を解析し、感情や意思決定など、心の機能を支える神経回路の基盤を明らかにする研究に取り組んでいる。最先端の脳研究を進める一方で、科学を広く伝える活動にも力を注ぎ、今回の「脳科学の達人2026」ではプロモーション動画の制作も担当した。
研究費支援
このイベントは、科学研究費助成事業(科学研究費補助金)のうち2026年度 研究成果公開促進費「研究成果公開発表(B)(課題番号26HP0015)」の交付を受けて運営されています。

後援
神戸市教育委員会、サンテレビジョン